肉厚の葉がギュッと詰まり、花のように広がる姿が可愛い多肉植物。
購入したときはこんもりとしたボリュームある姿だったはずなのに、いつの間にか茎が伸びすぎてひょろひょろになってはいませんか。
今回は、多肉植物が伸びすぎてひょろひょろになる原因と対処法をくわしく解説します。
多肉植物の茎が伸びすぎて姿が乱れてお困りの方は、今回の記事をぜひご参考にされてください。
伸びすぎた多肉植物はどうすべき?ひょろひょろの原因
「多肉植物の茎がどんどん伸びてひょろひょろになってしまった…」
まずは、多肉植物の茎が縦方向に伸びすぎる主な原因から見ていきましょう。
多肉植物は日光不足が続くと光を求めて茎ばかりが縦に伸びやすい
多くの多肉植物は日光が大好きです。
原産地での多くの多肉植物は、直射日光をサンサンと浴びながら乾燥に耐えつつ旺盛に育っています。
そのため、多肉植物を長い間、室内に置きっぱなしにしているとどうしても茎ばかりが日光を求めて縦方向ばかりに伸びる「徒長(とちょう)」を起こしやすいです。
茎が縦ばかりに伸びてひょろひょろになるのは「徒長(とちょう)」の症状
ひとつ例を見てみましょう。下写真は「虹の玉」という多肉植物です。ギュッと締まった姿が可愛い多肉植物です。
そして、購入後ずっと室内に置きっぱなしにして管理した結果が下写真になります。
茎ばかりが窓の方向に向かって伸び、葉と葉の間隔が広くなっていますね。これが徒長です。
徒長した多肉植物は、茎が伸びすぎてひょろひょろになり見た目が悪くなるだけではありません。株自体が弱々しくなりちょっとした環境の変化やストレスによって大きなダメージを受けやすくなります。
また、徒長した多肉植物の葉は少しの衝撃でもポロポロと落ちやすいです。株を丈夫に保つためにも多肉植物には十分な日光が不可欠です。
特に、生育期である春・秋に室内に置いたままだと徒長しやすい
多くの多肉植物にとって春と秋は生育が旺盛になる生育期です。つまり、この時期に日光不足が続くと茎ばかりが伸びすぎてひょろひょろに育ちます。
茎ばかりが伸びすぎるのを防ぐためには、生育期である春と秋に十分な日光を浴びさせることが必要です。
伸びすぎた多肉植物はどうすべき?ひょろひょろの対処法
では、すでに徒長を起こして伸びすぎた多肉植物はどうしたらよいのでしょうか。ここでは、徒長した多肉植物を簡単に仕立て直す方法をご紹介します。
伸びすぎた多肉の対処法 手順①適期は春先or秋口
伸びすぎて姿の乱れた多肉植物を仕立て直すには「挿し木(さしき)」が簡単でおすすめです。すでに徒長を起こした部分は元に戻りません。
挿し木は茎をカットし発根させる方法です。今回は、実際に茎が伸びて徒長気味の多肉植物を使用して解説します。
上写真は多肉植物「恋心」です。葉と葉の間隔がやや広くなり茎が伸びていますね。これを挿し木で仕立て直します。
挿し木は、茎をカットし土に挿すことで発根させ、同じ性質をもつ個体を増やす方法です。挿し木の適期は生育期の少し手前くらいですが、それぞれの品種によっても異なるため調べてみてください。
春と秋が生育期の多肉植物であれば、挿し木の適期は春先または秋口になります。
伸びすぎた多肉の対処法 手順②伸びすぎた茎をカットする
伸びすぎた葉付きの茎をカットします。元株の方に葉を数枚残した状態でカットするのがポイントです。
清潔なハサミで切り取ります。この茎を「挿し穂(さしほ)」とよびます。挿し穂を土に挿して発根させるのが挿し木という繁殖方法です。
うまくいけば、元株の方からも枝分かれするように子株が出てきますので安心してください。
伸びすぎた多肉の対処法 手順③葉数を調整
切り取った茎についた葉が多い場合、指で軽くひねりながら取ります。うまく取れない場合はハサミでカットします。
葉が多すぎると「蒸散」によって挿し穂が乾燥してうまく発根しないこともあるため、土に挿す部分の葉を中心に取り除いておくのがおすすめです。
ちなみに、葉が付け根からきれいにポロっと取れた場合、「葉挿し(はざし)」にして増やすこともできます。
葉挿しは葉から発根させて同じ個体を増やす方法です。
伸びすぎた多肉の対処法 手順④乾いた土に挿す
葉数を調整した茎は乾いた土に挿します。これで挿し木の作業は完了です。
ここで気を付けていただきたいのが、挿し木から10日ほどは水を与えないこと。切り口から雑菌が浸入し腐敗するのを防ぐため、しっかりとかさぶたができるまでは乾燥状態を保ちます。
元株の方は、「土がしっかりと乾いたら水やりする」という通常の管理を続けてください。今後は徒長の再発を防ぐためにもできるだけ日当たりがよく風通しのよい場所で管理します。
春先や秋口であれば屋外が最適です。挿し木した株も元株も、しばらくは直射日光を避けた半日陰で休ませます。
挿し木した方は、10日ほど経過後に水を与えます。その後は土がしっかりと乾いたら水やりして見守ります。
そして、挿し木に適している土は以下の条件を満たしたものです。
多肉植物の挿し木に適している土の条件3つ
1.肥料分を含まない
2.水はけがよい
3.使い古しではない(清潔である)
例:バーミキュライト、赤玉土(小粒)、川砂、市販の挿し木用の土、など
挿し穂が細い場合、安定させるためにも目の細かい土が適しています。大粒だとどうしても不安定になり挿し穂が倒れてしまいがちだからです。
伸びすぎた多肉の対処法 手順⑤経過
手順ではありませんが、挿し木後の経過を見ていきましょう。まずは挿し木してから約1か月経過した姿をご覧ください。
挿し木から約1か月経過した多肉
下写真は1か月前に伸びすぎた茎をカットした元株の様子です。
すでに小さな子株が2つほど顔を出していますね。これが大きく生長すればボリュームのある株になるでしょう。できるだけ日当たりのよい屋外での管理を続けます。
次は挿し木にした方です。(下写真)
こちらはあまり変化が分かりませんね。ただ、株に触れると抵抗を感じます。
しっかりと根が活着したようです。このように、多肉植物は葉に多くの水分と養分を蓄えているため、すぐに水やりをせずとも発根する力を秘めています。
そして、挿し穂の下部に付いていた葉はそのまま乾いた土の上に置いていたところ、桃色の根が出てきましたよ。(下写真)
これらはこのまま乾いた土に置いておくだけでそのうち子株が出てきます。ただ、葉挿しで育てる場合は大きくなるまで時間がかかります。
挿し木から半年経過した多肉
さらに経過を見ていきましょう。下写真は、挿し木から約半年経過したものです。
冬場にさしかかり葉が桃色に紅葉していますね。茎は伸びすぎておらず、多肉質の葉がギュッと締まっていて可愛いです。
日光はもちろんのこと、多肉植物を丈夫に育てるには屋外の風通しが欠かせません。また、寒さにあたることで紅葉も楽しめます。
元株の方はどうでしょうか。下写真は挿し木から約半年経った元株です。
元株はその後、茎が伸びて挿し木をもう一度実施したため2つの株に増えました。こちらも屋外での管理を続けているためやや紅葉していますね。
ただ、こちらは日当たりがイマイチの場所で育てているためか、下の方がややスカスカです。このようになったらまたカットして挿し木で簡単に仕立て直す(増やす)ことができます。
このように、茎が伸びすぎた多肉植物は挿し木で容易に仕立て直すことが可能です。伸びすぎた多肉植物にお困りならぜひ、今回ご紹介した方法を試してみてください。
あわせて読みたい「多肉植物が紅葉しない理由と対処法とは?」はこちら
まとめ
今回は、伸びすぎてひょろひょろになった多肉植物の原因と対処法をくわしくご紹介しました。
多肉植物を丈夫に姿よく育てるためには、やはり屋外の「日光」と「風通し」が欠かせません。とはいえ、それぞれの多肉植物に適した温度があります。
春・秋型の多肉植物であれば、真夏は屋外だとダメージを受けて弱ってしまうこともあります。
現在育てている多肉植物の種類を再確認した上で、今回ご紹介した対処法を試してみてください。
※ちなみに、「この多肉はなんていう種類が分からない…」という場合は「picture this」というアプリが便利ですよ。
多肉植物が伸びすぎる主な原因
・主に日光不足によって茎がひょろひょろと伸びやすい
多肉植物が伸びすぎた時の対処法
・適期に挿し木を実施することで乱れた株姿を仕立て直す
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