センペルビウムの葉が下向きに垂れてスカートを履いているみたい…。元の締まった株に戻すにはどうすればいいの?
日当たりの良い場所で育てているのにセンペルの葉がスカート状に垂れてしまった…。スカートになる原因と予防策を教えて?
センペルビウムを育てているといつかはぶち当たるのが「スカート問題」です。
葉が下向きに伸びて垂れ、まるでスカートを履いているようになる症状にお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、センペルビウムがスカート状になる原因と対処法、予防策について深掘りしてみました。
この記事を読めば、
- センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因とは?
- センペルビウムのスカートの直し方
- センペルビウムを徒長させない!管理のポイントは3つ
- センペルビウムがスカートを履いた時によくある質問
が分かるよ!
※ちなみに、センペルビウムの葉が下向きに垂れて姿が乱れる様子は「スカートを履く」と表現されます。株元の葉が長細く伸びて垂れた様子は本当にスカートを履いているようです…( ;∀;)
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因とは?
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因はいくつか考えられます。
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因①光線不足による徒長
センペルビウムがスカート状に乱れる原因のひとつに光線不足があります。
センペルビウムは観葉植物と違って耐陰性がほとんどありません。気温が許す限りは屋外管理が基本となります。
また、株が混みあってくると下葉へ光が当たりにくくなり、徒長によって葉が細長く伸びることも考えられます。
日光は窓を通すことで約30%遮光されているといわれるよ。日光が大好きなセンペルを育てるなら基本は屋外管理。ただし夏場の直射日光は避けて。あと、土が湿った状態で高温に晒すと根が煮えて傷むから注意。
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因②高温多湿
センペルビウムは高山性植物のため、寒さにはかなり強いです。北海道の屋外でも冬越しできるほど。
寒さに強い反面、センペルビウムは高温多湿にかなり弱いです。
梅雨~夏に高温多湿に晒されると、下葉が下向きに垂れることがあります。
葉が垂れた原因が日光不足でない場合、暑さが落ち着く秋になると徐々に葉が閉じ、株全体が締まってくることも多い。我が家のセンペルは夏に葉が開いて、寒くなるとギュッと葉が閉じ気味になることが多いよ。
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因③風通しが悪い
センペルビウムは風通しの良い場所を好みます。
風通しが悪いと株元が蒸れるだけでなく、光合成も十分におこなうことができません。
光合成には光・水・風の3つが不可欠です。
風通しが悪いと光合成がスムーズにおこなえず、徒長に似た症状が出ることも考えられるよ。
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因④特性上の問題
日光不足や高温多湿、風通しの悪さなどの環境的要因が思い当たらないという場合、その品種が持つ特性上の問題である可能性もあります。
同じ環境で栽培していても、スカート状に乱れるセンペルとそうでないセンペルがある場合、その品種がスカートを履きやすい性質を持ってくることも考えられます。
センペルビウムは原種が約40種確認されていますが、観賞用の園芸品種は数えきれないほど増え続けています。
筆者も屋外で管理しているのに、スカートを履きやすい品種とそうでない品種があるな…と感じているよ。明らかに徒長(葉と葉の間隔が伸びてだらしない見た目)になってないなら、あまり気にし過ぎないことも大事かも。
センペルビウムの葉が下向きに垂れる原因⑤新陳代謝
センペルビウムはロゼットの中心部から新しい葉を展開させます。
そのため、外側の葉は徐々に老化して枯れていくのが自然です。
日光が十分に確保できているなら、新陳代謝によって株元の下葉がしおれてきていることも考えられます。
新陳代謝によって葉がしおれている場合、放っておくと徐々にしなびてカラカラに枯れる。そうなったらピンセットで取ってあげよう。無理に取る必要はないけど、あまりにも枯れ葉を放置していると株元が蒸れてカイガラムシが付くことがあるから注意。
スカート状に乱れたセンペルビウムの直し方は?
残念ながら、すでに下向きに垂れた葉を上向きに戻すことはできません。
ただ、適期に切り戻すことで仕立て直すことはできます。今回はその方法をお届けします。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順①適期は春先(梅雨直前は避ける)
センペルビウムの生育がさかんになるのは春と秋です。
ただ、スカート状に乱れた株を切り戻して仕立て直す場合、より長く生育期間を設けた方が冬越しに備えることができます。
おすすめは春先。地域にもよりますが3月頃。梅雨直前は根が傷みやすく、株の回復力も落ちるので避けて。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順②土は乾かしておく
切り戻す場合、数日は水遣りを控えて土を乾かし気味にしておきます。
土がびしょびしょの状態で切り戻した場合、元株の根に負担がかかるためです。
葉が大幅に減ると蒸散によって放出される水分がガクンと減り、しばらくは土が乾きにくくなります。
元株の根腐れを防ぐためにも、切り戻し前数日は水遣りを控えて土を乾かし気味にしておくと良いよ。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順③胴切り
スカートを履いていない部分の穂先をカットします。
葉の隙間にハサミが入る場合はそのままカットしますが、ハサミが入りにくい場合はテグスを使って切り取ります。
葉の隙間にテグスを入り込ませ、クロスさせるようにして切り取ります。
テグスがなければ細い糸でもok。清潔なものを使ってね。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順④乾いた土に挿す
切り取った穂先部分は土に挿す部分の葉を取り、乾いた清潔な土に挿して発根を待ちます。
すぐに水遣りすると切り口が腐敗しやすいので、10日くらいはそのまま半日陰で休ませます。
直射日光、雨ざらしを避けた場所に置いてね。赤玉土(小粒)と鹿沼土(小粒)を混ぜ込んだ土がおすすめ。スムーズに発根させるためにも、土は肥料分を含まない無機質で水はけの良いものにしてね。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順⑤10日ほど経ったら水遣り
土に挿して10日ほど経ったら土の約1/3が湿る程度に水を与えます。
うまくいけば14日ほどで発根。
株に触れて抵抗を感じるようになれば、徐々に明るい場所へ移動します。
スカートを履いたセンペルの仕立て直し 手順⑥うまくいけば元株からも子株が出てくる
うまくいけば切り取った元株からも子株が複数出てきます。
センペルは子沢山なので、増えた子株を挿して育て直すのも容易です。
しっかり発根したら緩効性肥料(マグァンプk等)とオルトランDXを混ぜ込んだ土に定植してね。オルトランDXを混ぜておくことで害虫被害を予防してくれるよ。センペルは株元にコナカイガラムシが付きやすいからできる対策はしておこう。
センペルビウムにスカートを履かせない!管理のポイント3つ
センペルビウムを姿良く育てたいなら以下3つのポイントを押さえておきましょう。
スカート防止!管理のポイント①基本は屋外管理
センペルビウムは耐陰性がほとんどありません。丈夫な株に育てたいなら屋外管理が基本となります。
室内管理ではどうしても日照、風通しの面で制限され、間延びした弱々しい姿になりがちです。
センペルビウムはとにかく寒さに強い。北海道で地植えで冬越しできるほど。暑さと蒸れに気を付けて管理すれば屋外で育てられるよ。
スカート防止!管理のポイント②2年に1回は植え替え
センペルビウムは水はけの良い土を好みます。
鉢植えの場合、2年以上植え替えていないと土の粒が崩れて水はけが悪くなりやすいです。
土がカチコチになったり根でぎゅうぎゅう詰めになったりすると、生育に悪影響を及ぼします。
粒が崩れてカチコチになった土は蒸れやすい。
スカート防止!管理のポイント③高温多湿を避ける
センペルビウムは風通しの良い場所を好みます。
屋外であっても葉が茂ってきたら、蒸れを防ぐために株を整理しましょう。
株元の枯れ葉をそのままにしていると、株元が蒸れてカビや害虫の発生リスクも高まります。
株元の枯れ葉は植え替えや株分けのタイミングで綺麗に取ってあげるといいよ。ただし無理に引っ張るのは×。カラカラに枯れた葉は手で触れると簡単に取れる。
センペルビウムがスカートを履いた時によくある質問
スカートの隙間から子株(新芽)が出てる。切り戻さない方がいい?
切り戻してもそのまま育ててもどちらでも構いません。
切り戻す場合は今回紹介した手順で仕立て直してみてください。
株元がスカート状に乱れているなら、頂点部分のみカットして挿し芽で育て直すのがおすすめです。
頂点をカットしても子株は特に問題なく育ち続けます。
センペルビウムは室内で育てられないの?
センペルビウムは室内で育てられないわけではありません。
ただ、室内だとどうしても日当たり、風通しが制限されやすいです。
センペルビウムは寒さにも強いため、北海道でも地植えで冬越しできるほど。
室内で楽しみたいなら鉢植えにして、ときどき室内へ移動させて観賞するのが良いでしょう。
あくまでメインの置き場所は屋外にしてね。室内に置きっぱなしだと、あっという間に徒長を起こして弱ってしまうことが多いよ。
センペルとエケベリア、スカートを履きにくいのはどっち?
個人的に、今までセンペルとエケベリアを育ててきてスカートを履きやすいのはセンペルと感じます。
ただ、エケベリアがセンペルより徒長を起こしにくいという意味ではありません。
エケベリアは徒長するとスカートを履くというより、葉と葉の間隔が伸びて全体的にだらしのない見た目になりやすいです。
エケもセンペルも日光不足で姿が乱れる。ただし真夏の直射日光は避けて。エケベリアよりもセンペルの方が寒さに強いから、地植えにするなら断然センペルがおすすめ。
まとめ
- センペルビウムがスカートを履く(下葉が垂れたように乱れる)主な原因は「日光不足」「高温多湿」「蒸れ(風通しが悪い)」「特性上の問題(日光不足に陥りやすい品種の可能性)」「新陳代謝によるもの」などが考えられる
- 日光不足による徒長で葉が細長く伸びた場合、元の姿に戻すことはできない
- スカートを履いたように樹形が崩れた場合、春先に切り戻しで仕立て直すのがおすすめ
- センペルビウムを姿よく育てたいなら「基本は屋外管理」「2年に1回程度の植え替え」「高温多湿を避ける」の3つを押さえて管理すると良い